月報 2016年4月号  「人と共に泣くということ」

月報 2016年4月号  「人と共に泣くということ」

イエスは涙を流された。日本聖書協会『口語訳聖書』ヨハネによる福音書 11章35節

「ああ、それならわたしは知っていました。先生が最初にお見えになったあの五月の太陽の輝く朝、涙ながらにわたしをしっかり抱いてくださった、あれがそれでしょう。」
三重の障がいを負った少女ヘレン・ケラーに、家庭教師サリバンが苦心して「愛」という言葉の意味を教えた時、ヘレンが伝えた言葉です。サリバンは天を仰いで泣いたと言われます。

「喜ぶ者と共に喜び、泣く者と共に泣きなさい。」(ローマ12:15)

とあるように、人と共に泣くことも愛情表現です。「イエスは涙を流された」(ヨハネ11:35)は、英語訳聖書で Jesus wept と二語で、聖書で最も短い節でありながら、実に多くのことを語っています。ラザロの死を悲しみ泣く主イエスの姿から、人間の泣くことが神に理解され受け容れられることを私たちは知らされます。

「涙は神がおわかりになる言葉です」という、ゴードン・ジェンソン作の詩をご紹介します。

なぜ涙が出てくるのか不思議に思いました
物事はあてにしていたような結果になりませんでした
しかし神はそばにお立ちくださり
落ちる涙をご覧になっています
神はうちひしがれた魂の涙をごらんになっています
神は人と一緒に泣いて手を取ってくださいます
涙は神のおわかりになる言葉です
悲しみがあなたをみじめにする時、涙を流させるのです
その重荷にとうてい耐えきれないように思うでしょう
しかし神はあなたをお忘れではありません
神の約束は変りません
涙は神がおわかりになる言葉です

「涙を流された」主イエスは、私たちが泣く時も私たちに出会って下さいます。
 「悲しんでいる人たちは、さいわいである、彼らは慰められるであろう。」(マタイ5:4)

信仰は涙を道連れに育ちます。

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