月報 2016年3月号 「 何を聞き、何を思うか 」

月報 2016年3月号 「 何を聞き、何を思うか 」

「 神の前で軽々しく口をひらき、また言葉を出そうと、心にあせってはならない。神は天にいまし、あなたは地におるからである。それゆえ、あなたは言葉を少なくせよ。」日本聖書協会『口語訳聖書』伝道の書 5章21節

今、アメリカでは大統領選の候補者指名争いが繰り広げられ、舌戦の凄まじさには圧倒されます。この様な時こそ、古代中国の哲学者老子が言ったとされる「真理は沈黙している」(語ることが出来るものは真理ではない)との言葉を思い出します。なぜなら、声高に真理や正義が語られる時は要注意で、それは空疎や欺瞞を隠した偽装であることが歴史上しばしばあったからです。

「沈黙は金」という諺(ことわざ)もありますが、有名なアインシュタイン博士は、自身が考案した「人生に成功する為の最上の方程式」について、こう語ったそうです。「A=X+Y+Z、人生の成功をAとすれば、Xは仕事、Yは遊びじゃ」。そして、「Zは口を閉じること、沈黙じゃよ」と。アインシュタインは『考える時間』を重要視したので、この沈黙とは“考える時間”のこと解釈されています。

さて、主イエスが十字架につけられる前に裁判を受けられた時のことです。

 「そこで大祭司が立ちあがって、まん中に進み、イエスに聞きただして言った、『何も答えないのか。これらの人々があなたに対して不利な証言を申し立てているが、どうなのか』。しかし、イエスは黙っていて、何もお答えにならなかった。…」(マルコ14:60-61)

沈黙をもってむしろ深いものを語り伝える、そういう世界があるのです。詩篇にもあります。

「話すことなく、語ることなく、その声も聞えないのに、その響きは全地にあまねく、その言葉は世界のはてにまで及ぶ。…」(詩篇19:3-4)

沈黙すること、それは叫ぶこと以上に深く広く周囲に及んでいくもののようです。姦通の現場で捕らえられた女性を人々が主の前に突き出し、怒号、叫び声をあげている中、イエスは沈黙してかがみ込み、指で地面に何かを書いておられました(ヨハネ8章)。

あなたは、“沈黙する”御言葉から何を聞き何を思い巡らしますか。 

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2016年 メッセージ一覧

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クリスマスが近づくと、私たちはクリスマスに備えて色々な買い物をしますが、クリスマスの主人公イエス・キリストが勧める買い物をご紹介しましょう。その買い物リストが、標記の「ヨハネの黙示録3章18節」です。そ…

月報 2016年11月号 「人のおもな目的 」

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月報 2016年10月号 「 収穫(実り) 」

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月報 2016年9月号 「 聖書を読もう 」

みなさまが聖書を読もうとする時、どのような気持ちで聖書を開かれますか。是非とも、神がこの私に語りかけて下ること期待して向き会ってみて下さい。ただ、その時に、聖書には聖書に相応しい読み方があります。ま…

月報 2016年8月号 「 快(こころよ)い聖書の読み方 」

家内から聞いた話ですが、ある介護施設では『水戸黄門』のビデオが特に好まれ、高齢の方々が食い入る様に観ておられるとのこと。ある研究者によれば、人気がある長寿番組には二つの特徴があるそうです。ひとつは、…

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月報 2016年6月号  「食べられるって、しあわせ」

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月報 2016年5月号 「ペンテコステに響いた音」

つい先日、修理に出していた教会のリードオルガンが仕上がって戻ってきました。パイプ・オルガン制作者として知られる辻宏さんが著書『風の歌』で次の様に書いておられます。「美しい音というのは、その音自身に魅…

月報 2016年4月号  「人と共に泣くということ」

「ああ、それならわたしは知っていました。先生が最初にお見えになったあの五月の太陽の輝く朝、涙ながらにわたしをしっかり抱いてくださった、あれがそれでしょう。」 三重の障がいを負った少女ヘレン・ケラーに、…

月報 2016年3月号 「 何を聞き、何を思うか 」

今、アメリカでは大統領選の候補者指名争いが繰り広げられ、舌戦の凄まじさには圧倒されます。この様な時こそ、古代中国の哲学者老子が言ったとされる「真理は沈黙している」(語ることが出来るものは真理ではない)…

月報 2016年2月号 「 人が集まるのは、集まることで互いに癒(いや)しあえるから 」

最近私が読んだ『失われた物語を求めて』(レイチェル・ナオミ・リーメン著)に次の様にありました。「人が集まるのは、集まることで互いに癒(いや)しあえるからだ。人は、話を聞いてもらうことで癒(いや)され、人の…

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