月報 2019年4月号 「 生きることを諦めないで! 」

月報 2019年4月号 「 生きることを諦めないで! 」

「イエスよ、あなたが御国の権威をもっておいでになる時には、わたしを思い出してください」。イエスは言われた、「よく言っておくが、あなたはきょう、わたしと一緒にパラダイスにいるであろう」。日本聖書協会『口語訳聖書』ルカによる福音書 23章42-43節

 元気なうちは、生きていることは当たり前のことで気にもとめません。しかし、死が近づいてくるのを感じると、元気で生きていることの有り難みを痛感するようになります。

 私事で恐縮ですが、94歳になったばかりの母が三月末肺炎で入院しました。肺炎自体は治癒しましたが、点滴の自己抜去を繰り返し、体力も消耗して医者からは厳しい言葉を告げられました。鼻カニューレ(鼻用酸素吸入チューブ)を付けて静かに寝ている母が忍びなく、思わず母の頭に手を置いて祈りました。「もうちょっとだけでもいいですから時間を下さい。母はあなたのこと殆ど知りませんが、イエス・キリストを救い主と信じて救われる為の時間を下さい。イエス様の御名によって祈ります。アーメン」。すると、「アーメン」とハッキリした声で母が言ったのです。驚いて母を見ると、しっかり目を開いて私を見ているんです。

 母は、私の受洗以来およそ40余年の間、私をけなしこそすれ全くキリスト教信仰に無関心、イエス・キリストへの信仰によって与えられる救い、いのちについて何度話しても全く馬耳東風でした。その母が私の祈りに「アーメン」と唱和したのです。「溺れる者は藁(わら)をも掴む」、切羽詰まった時は助かりたい一心でどんなものにもすがりつき、救いを求めることのたとえですが、この時の母の目は違いました。
この時、タイトルの聖書の光景が鮮やかによみがえりました。そして、母も主に受け入れられたことを確信し、主であられる神を誉め讃えました。

 それから10日ほど経過した母ですが、未だ酸素は取れません。しかし、食事も日常の活動もほぼ以前の状態に戻りました。あとどれだけ地上で生きられるかは判りませんが、その時間は母が授けられた救いの確かさ、素晴らしさ、喜びを味わう為の時間です。

「ですから、信仰は聞くことから始まります。聞くことは、キリストについてのことばを通して実現するのです。」(ローマ10:17)

 どうか、命の危機に瀕している方々が、生きることを諦めないで福音を聞いて救われていただきたいのです。

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2019年 メッセージ一覧

月報 2019年12月号 「 クリスマスという、神の時間厳守 」

クリスマスについて「きょう」と言われてます。聖書の「きょう...」という言葉は、昨日、今日、明日と言った日常的な時間の流れを超越した特別な日、すなわち神が予め定めておられた、予定されていた「その日」、…

月報 2019年11月号 「 永遠への思慕(しぼ)」

 聖書は私たち人間についてこう言います、「…あすのこともわからぬ身なのだ。あなたがたのいのちは、どんなものであるか。あなたがたは、しばしの間あらわれて、たちまち消え行く霧にすぎない」(ヤコブ4:14)と。そ…

月報 2019年10月号 「 詩篇を通して主イエスにまみえる」

 主イエスはこう言われました、「 わたしが以前あなたがたと一緒にいた時分に話して聞かせた言葉は、こうであった。すなわち、モーセの律法と預言書と詩篇とに、わたしについて書いてあることは、必ずことごとく成…

月報 2019年9月号 「 老いの坂は上るもの 」

 9月16日は敬老の日です。老年に入る年頃を「初老」と言い、四十歳からだそうです。平均寿命が延びた現代はもっと遅くても良いでしょう。この初老を境に、それまでグングン人生を上り詰めてきた人でも、その後は老…

月報 2019年8月号 「 破れ口」は塞(ふさ)がれた

  7月21日の説教で、標記の詩篇を引用しながら「いつの時代も『彼は他人を救った。もし彼が神のキリスト、選ばれた者であるなら、自分自身を救うがよい』(ルカ23:35)と嘲る。しかし主イエスは私たちを救う為に御自…

月報 2019年7月号 「 悲しいことを話していいですか? 」

 痛ましい事件が頻発する昨今です。しかし、たいていは私たちにとって“遠いところの出来事”なので、当事者の方々に思いを馳せることがほとんどありません。 ところで、先月六月中旬、以前から親しくしている素敵…

月報 2019年6月号 「 相談相手 」

 誰の言葉を聞くか、誰を相談相手とするか。これは人生を左右します。そこで今、自分に問うてみましょう、「一体、わたしは誰の言葉を聞き、誰の言葉に従っているのだろうか」と。  聖書に記された歴史は、相談…

月報 2019年5月号 「生れ変って歩き出すよ ♪」  ~中島みゆき「時代 」

 中島みゆきさんの歌詞には、聖書の言葉を連想させるものが少なくありません。「時代」もそうです。この作品が1975年に発表されてから凡そ45年が経ちました。いわば古い曲ですが、昭和と平成の時代を生きた人々ば…

月報 2019年4月号 「 生きることを諦めないで! 」

 元気なうちは、生きていることは当たり前のことで気にもとめません。しかし、死が近づいてくるのを感じると、元気で生きていることの有り難みを痛感するようになります。 私事で恐縮ですが、94歳になったばかり…

月報 2019年3月号 「 寄り添う人、寄り添われる人 」

 教会学校の子どもたちにも良く知られたザアカイは、突然主イエスの訪問を受けた人々の一人です。ザアカイは主イエスと一緒にどんなひとときを過ごしたのかは聖書に書かれていませんが、彼の喜び様は並大抵でなか…

月報 2019年2月号 「 すべての人に臨むところは、みな同様なのか ?! 」

伝道の書は、虚無的な言葉を多用ながら人生の目的・生きる意味を問いつつ、間接的に神の存在とその神に対する信仰の必要を説いています。この聖書箇所は、“一寸先すらも分らぬ人間だが一つ確かなことがある。それは…