月報 2019年2月号 「 すべての人に臨むところは、みな同様なのか ?! 」

月報 2019年2月号 「 すべての人に臨むところは、みな同様なのか ?! 」

すべての人に臨むところは、みな同様である。正しい者にも正しくない者にも、善良な者にも悪い者にも、清い者にも汚れた者にも…その臨むところは同様である。善良な人も罪びとも異なることはない…すべての人に同一に臨むのは、日の下に行われるすべての事のうちの悪事である…その後は死者のもとに行くのである。日本聖書協会『口語訳聖書』伝道の書 9章2~3節

伝道の書は、虚無的な言葉を多用ながら人生の目的・生きる意味を問いつつ、間接的に神の存在とその神に対する信仰の必要を説いています。

この聖書箇所は、“一寸先すらも分らぬ人間だが一つ確かなことがある。それは死だ。善人も悪人も、神を畏れる人もしない人も、みな同じく死ぬ。それは、あらゆる人生の営みの中で最も悪い”と言っています。全くその通りだと思います。

仏教は、最初の小乗仏教においては善因善果、悪因悪果が鉄則だったそうです。しかし、現実の世の中はなかなかその通りにはならない。そこから、やがて大乗仏教が生まれ、それが我が国では鎌倉時代にさらに進展して、法然、親鸞の念仏宗にまでいたりました。善因善果、悪因悪果ではなく、ただ阿弥陀如来の本願力に寄り頼むこと(他力本願)で救われると。

しかし伝道の書はこう結論づけています。「事の帰する所は、すべて言われた。すなわち、神を恐れ、その命令を守れ。これはすべての人の本分である。神はすべてのわざ、ならびにすべての隠れた事を善悪ともにさばかれるからである。」(伝道の書12章13-14節)。

私たちは、ルカによる福音書の御言葉に連続して聞いてきました。21章では次のことを学びました。「終わりの日」は突然万民に等しく必ずやってくること、その時は単にこの世界の消滅ではなく“万物が更新される”時であること、万民はその“最後の審判”によって「祝福された永遠の命」か「呪われた滅び」かのどちらかに分かたれて生前の報いを受ける、と。すなわち、「すべての人に臨むところは、みな同様」ではなく、神の正義と公平がもたらされます。私たちの人生という“短い物差”ではなく、天地万物の創造から終わりの日の再創造に至る“神の物差”で物事を考えましょう。ここに私たちキリスト者の望みがあります。 

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2019年 メッセージ一覧

月報 2019年12月号 「 クリスマスという、神の時間厳守 」

クリスマスについて「きょう」と言われてます。聖書の「きょう...」という言葉は、昨日、今日、明日と言った日常的な時間の流れを超越した特別な日、すなわち神が予め定めておられた、予定されていた「その日」、…

月報 2019年11月号 「 永遠への思慕(しぼ)」

 聖書は私たち人間についてこう言います、「…あすのこともわからぬ身なのだ。あなたがたのいのちは、どんなものであるか。あなたがたは、しばしの間あらわれて、たちまち消え行く霧にすぎない」(ヤコブ4:14)と。そ…

月報 2019年10月号 「 詩篇を通して主イエスにまみえる」

 主イエスはこう言われました、「 わたしが以前あなたがたと一緒にいた時分に話して聞かせた言葉は、こうであった。すなわち、モーセの律法と預言書と詩篇とに、わたしについて書いてあることは、必ずことごとく成…

月報 2019年9月号 「 老いの坂は上るもの 」

 9月16日は敬老の日です。老年に入る年頃を「初老」と言い、四十歳からだそうです。平均寿命が延びた現代はもっと遅くても良いでしょう。この初老を境に、それまでグングン人生を上り詰めてきた人でも、その後は老…

月報 2019年8月号 「 破れ口」は塞(ふさ)がれた

  7月21日の説教で、標記の詩篇を引用しながら「いつの時代も『彼は他人を救った。もし彼が神のキリスト、選ばれた者であるなら、自分自身を救うがよい』(ルカ23:35)と嘲る。しかし主イエスは私たちを救う為に御自…

月報 2019年7月号 「 悲しいことを話していいですか? 」

 痛ましい事件が頻発する昨今です。しかし、たいていは私たちにとって“遠いところの出来事”なので、当事者の方々に思いを馳せることがほとんどありません。 ところで、先月六月中旬、以前から親しくしている素敵…

月報 2019年6月号 「 相談相手 」

 誰の言葉を聞くか、誰を相談相手とするか。これは人生を左右します。そこで今、自分に問うてみましょう、「一体、わたしは誰の言葉を聞き、誰の言葉に従っているのだろうか」と。  聖書に記された歴史は、相談…

月報 2019年5月号 「生れ変って歩き出すよ ♪」  ~中島みゆき「時代 」

 中島みゆきさんの歌詞には、聖書の言葉を連想させるものが少なくありません。「時代」もそうです。この作品が1975年に発表されてから凡そ45年が経ちました。いわば古い曲ですが、昭和と平成の時代を生きた人々ば…

月報 2019年4月号 「 生きることを諦めないで! 」

 元気なうちは、生きていることは当たり前のことで気にもとめません。しかし、死が近づいてくるのを感じると、元気で生きていることの有り難みを痛感するようになります。 私事で恐縮ですが、94歳になったばかり…

月報 2019年3月号 「 寄り添う人、寄り添われる人 」

 教会学校の子どもたちにも良く知られたザアカイは、突然主イエスの訪問を受けた人々の一人です。ザアカイは主イエスと一緒にどんなひとときを過ごしたのかは聖書に書かれていませんが、彼の喜び様は並大抵でなか…

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