3月8日を皮切りに、三回にわたって詩篇73篇から礼拝説教をします。この詩篇は、ダビデ・ソロモン王室に仕えた神殿楽隊長アサフの実体験に基づいた「神は正しい者にむかい、心の清い者にむかって、まことに恵みふかい」(1節)ことの証です。この世の困難・誘惑に動揺し人生の危機に瀕した人々を救い出す力があります。
詩篇記者は自身の体験を回顧してこう記しています。「ある時社会の現実を見た。すると、神を侮り踏みにじり、悪を為す者が繁栄し、彼らに迎合する社会は罪の支配に飲み尽くされんばかりだった。その時自分は、神を疑い途方に暮れ、悪しき者の繁栄を妬み、疲れ果てて自分が駄目になりそうになった。しかし神に思いを馳せ聖所に行き(17節)御言葉を尋ね求めた時、獣の様な自分に気付かされ(22節)、物事を“神の物差し”で見るべきことに気づいた。そして神は私に応えて下さり、本来の人間性を回復して下さった。それだけでない。以前にも増して神を信頼し神を喜ぶことが出来るようにして下さった。確かに神は正しい者にむかい、心の清い者にむかって、まことに恵みふかい」(1節)と。
詩篇73篇からの説教の準備中、奇しくも2月27日に文藝春秋社から、思想家・哲学者として著名な内田 樹(たつる)著「サル化する世界」が出版され、インタビュー記事が同社のWebに掲載されました。
https://bunshun.jp/articles/-/35353
「今さえよければ、自分さえよければ、それでいい」、利己的で近視眼的なものの見方をする人々が増殖する社会を“サル(※すなわち獣)化”と定義し、世界的なモラルハザードを喝破しておられます。
内田氏の非常に興味深い命題に関して、今から3000年程前既に、神は聖書を通して問題提起され、同時に究極的解決の道も備えておられたことは新鮮な驚きです。究極的解決の道は、私たちも聖所に行くことです。その聖所とは、「全能者にして主なる神と小羊(※救い主イエス・キリスト)とが、その聖所なのである」(黙示録21:22)
